大学入試に向けて勉強しなくてはいけない日本史の知識は膨大な量です。そのため、「何から手をつければよいのかわからない」「効率良く覚えるにはどうすればよいか」など悩む高校生は多いのではないでしょうか。
また、大半の高校では通史が終わるのが高校3年生の12月頃です。中には通史が終わらない高校もあり、~中世・近世までは対応できても、明治時代以降の近現代が試験に出ると不利になってしまいます。
ここでは、勉強すべき順番やポイントなど、効果的な日本史の勉強方法・参考書を紹介します。
「日本史は暗記すればOK」ではない!
日本史で高得点をとるには丸暗記が大切と思われがちです。しかし、丸暗記だけに頼っていては高得点を狙うことはできません。もちろん知識も大切ですが、大学入試の日本史で問われるのは一問一答だけではないのです。
「時代背景」や「出来事」をしっかりと理解していれば、丸暗記していなくても物事の背景理由やつながりから類推して答えることができるものが多いのです。つまり、日本史には丸暗記よりも「類推する力」が必要なのです。
また、丸暗記するために日本史ばかりに勉強時間を割いていては他の科目の勉強をする時間がなくなってしまいます。その結果、全体の点数を下げてしまうかもしれないのです。
逆にいうと、丸暗記するために時間をかけなくても済むため、効率よく勉強すれば点数につながりやすいといえます。それでは、ここからは日本史を得点源にできるような学習方法を紹介していきます。
日本史を効率よく勉強するおすすめの3ステップ
1.時代の流れを理解する
日本史では覚えるべき用語を暗記するよりも先にやるべきことがあります。それは各時代の出来事やストーリーをつかみ、時代全体の流れを頭に入れることです。
それには教科書や参考書にざっと目を通すだけでOKです。あらかじめ全体の流れを把握することで、暗記するべき用語なども覚えやすくなるでしょう。教科書や参考書ではとっつきにくいという人には日本史を漫画にしている本をおすすめします。
2.時代の流れを掴んでから用語や年号を暗記する
日本史で覚えるべき用語とは人名や地域名、事件の名称などです。もちろん、これらを丸暗記するだけで高得点がとれるわけではありません。
用語や年号の丸暗記には一問一答形式の問題集や語呂合わせの参考書など、教材の活用をおすすめします。通学時間や休み時間などスキマ時間を利用して、できるだけ数をこなすようにしましょう!
日本史の試験では年号を正確に答える問題は少ないのですが、事件名や人物名を時系列に沿って並べる問題は頻出パターンです。そのため、日本史全体の流れをざっくりとでもいいので押さえてから、各時代の重要な用語・年号を暗記していく方が効率的な勉強方法といえるでしょう。
ポイントは「用語・年号を”点”ではなく”線”で覚えること」です。つまり、1つの出来事が起こった場合、なぜその出来事が起こったのかといった因果関係、日本史の中でどのような順番で進んでいき変化したのかといった経緯を理解しながら学ぶことが大切なのです。
3.文化史を学ぶ
これまでのセンター試験や私立大学の入試問題の場合、芸術家や芸術品、各時代の文化の特徴といった文化史が多く出題されます。そのため、早めに暗記しておきたいと考える人は多いでしょう。
しかし、まず通史をつかんでから文化史を学んだ方が時代背景と関連付けられるため暗記しやすいです。また、通史を全て学び終えてからよりも、各時代の区切りごとに並行して、資料集などで文化史を勉強する方がその時代と関連付けやすいため効率的です。
加えて、時間に余裕があれば教科書に出てくる寺院を訪れたり、美術館で実際の作品を見たりすることをおすすめします。なぜなら、実体験を伴った方が記憶に残りやすいからです。
文化史と同様に、経済史・外交史などテーマ史も同様の勉強法をおすすめします。テーマ史については自分なりにノートにまとめて整理してみるのもいいでしょう。
日本史を効率的に勉強できるおすすめの参考書
日本史を効率的に勉強するためには、適切な勉強法とその参考書選びが重要です。
参考書の種類としては、以下の2種類あります。
これらをグルグル回していくこ入試を突破する実力をつけることができます。
- インプット系:日本史の流れや知識を掴むための参考書
- アウトプット系:日本史の流れや知識を確かめるための参考書
- 【インプット系】詳説日本史B
- 【インプット系】詳説日本史図録
- 【アウトプット系】詳説日本史 改訂版 ノート
- 【アウトプット系】HISTORIA[ヒストリア] 日本史精選問題集
- 【アウトプット系】実力をつける日本史100題
- 【アウトプット系】山川一問一答日本史
1.【インプット系】詳説日本史B
まずは山川の教科書!
基本、定期テストも共通テストも、各大学受験の問題もここから出題されます。
教科書を何度も読んで基本的な流れを掴みましょう!
2.【インプット系】詳説日本史図録
教科書と合わせて重要なのは図録・資料集!
その時代の登場人物の画像や文化を時系列で並び替える問題は毎年共通テスト、各大学受験の問題で頻出なので日本史で覚えるべきは人名や地域名、事件の名などと一緒に登場人物や文化を覚えておきましょう!
「この人物はこんな顔をしていたな~」と覚えると問題を解く際にも登場人物の名前が思い出しやすいかも!
3.【アウトプット系】詳説日本史 改訂版 ノート
「詳説日本史ノート」は教科書の穴埋めになっている参考書で基礎的な流れや用語の定着に活用できます。
用語集や模試で新しく知った知識をこちらに書き込んでいき、自分だけの日本史ノートにすることができます!
4.【アウトプット系】HISTORIA[ヒストリア] 日本史精選問題集
「HISTORIA[ヒストリア] 日本史精選問題集」は、中級者向けの問題集になります。解説が非常に詳しく、問題に難関大・最難ピッタリ関大などの表記もあり、早慶を狙う受験生は最難関大まで、GMARCHを狙う受験生は難関大までやるなどの判断がしやすいです。教科書レベルの問題よりも少しレベルの上の問題に挑戦したいという学生にピッタリです!
5.【アウトプット系】実力をつける日本史100題
私立国立レベルの知識をつけるのに最適なのが「実力をつける日本史100題」。
問題の難易度としては、教科書レベルから早慶レベルまで易しい問題〜難しい問題まで幅広く集められており、それゆえ定期テスト対策から難関大学の受験対策まで幅広く対応している参考書です。
大問ごとに解答→学習のポイント→解説→入試への指針の順で記載されており、問題を解いて答え合わせをしたい時には解答が1ヶ所にまとめられているので見やすいです。この問題集1冊をマスターできれば難関大学への合格も近いかも!
6.【アウトプット系】山川一問一答日本史
短期間で最も効率的に頻出用語を暗記するには一問一答が最適です!星印で重要な箇所を表記されてあるため、覚えるべき優先順位を理解しながら学ぶことができます。
何度も「教科書→テキスト→一問一答」の流れを繰り返し、知識の定着を目指しましょう!
日本史を勉強する際のポイント2選
暗記だけではNG!様々な形式の問題を解くことでアウトプット力をつける
日本史の勉強は、「暗記ばかりに時間を割くのではなくさまざまな形式の問題を解くこと」がポイントになります。なぜなら、日本史の問題の多くは1つの知識に対してさまざまな角度から捉えられる「思考力」が問われるからです。
多くの問題を解くことで、覚えた用語をきちんとアウトプットできているかを確認し、理解できていない箇所があればしっかりと押さえるようにしましょう。
また、テストで正解した問題もしっかり頭に入っていない場合は時間が経てば忘れてしまいます。一度覚えた出題範囲も定期的に繰り返し勉強し、定着させることが大切です。
受験日から逆算して勉強の計画を立てる
日本史の暗記には際限がありません。そのため、効率よく勉強するためには「通読」「暗記」「演習」を計画的に行うことがポイントです。通読や暗記を終える時期、演習を始める時期は受験日から逆算して決めましょう。
スケジュールは受験生によって異なりますが、高校3年生の夏休みから秋までに暗記を終え、それ以降は志望校に合わせた演習に進んでいる状態がベストです。
また、大学ごとに問われる形式や知識の深さが違うため、暗記や演習にかける時間には注意が必要です。記述・論述問題がある大学の場合は用語を漢字で確実に書けるようにするなど自分の志望大学の出題形式に合わせた対策が必要です。
受験日は決まっているため、勉強する時間には限りがあります。こうしたことを踏まえてスケジューリングをするようにしましょう。
日本史の共通テスト対策はどうする?
2021年に初めて実施された大学入学共通テストの日本史では、センター試験よりもやや難化した印象となりました。
小問間での難易差はあるものの、全体の難易度としては標準レベルでしたが、従来のセンター試験に比べて多様な資料を用いた出題が増加し、受験生に「思考力・判断力」を求める姿勢がより一層鮮明になりました。 資料問題が増加し、初見の資料もあったことから、当日に面食らった受験生も多くいらっしゃったと考えています。
ただ学力レベルとしては、センター試験と大きな差はなく、出来事の因果関係を正しく理解できているか、歴史用語の意味を正確に理解しているか、といったことが重要です。
従来の学習方法と大きくは異なりませんが、資料問題や、時代の判別問題、並べ替え問題などの演習の確保の重要性が増しているので、まずは演習のための時間を確保できるように、余裕をもって全範囲を終了させるとよいでしょう。
国公立大学の二次試験・私立大学入試の日本史の対策は?
国公立大学の二次試験・私立大学入試の出題傾向は大学によって異なります。高校3年生の夏休み期間に志望校の過去問を解くことで出題傾向をつかむようにしましょう。
また、記述・論述問題が多く出ることが予想されます。そのため、的確で簡潔な文章で答えをまとめる力が求められます。こうした力を身につけるには教科書での勉強が最適です。なぜなら教科書の文章は日本史のストーリーなどを的確に、そして簡潔に表現しているからです。
また、解くのが難しいと思われる問題でも、実は問題文や資料のなかにヒントが隠れていることがあります。過去問を解くことで出題文からどのように読み解くかを把握して、本番では落ち着いて問題と向き合えるようにしましょう。
効率の良い勉強法を実行して日本史で差をつけよう!
日本史は根気が必要ですが、努力が実りやすい科目でもあります。ただ、一問一答の暗記は自分でできても、時代の全体像をつかめない、物事のストーリーや因果関係が理解できない、問題演習になると点数が上がらない…といった状態に陥りがちです。
河合塾マナビスの講座は日本史に必要な時代の全体像をつかみ、物事のストーリーや因果関係が理解しやすい構成になっています。マーク・記述・論述に対する対策講座も充実。特に記述・論述問題は、自分の主観ではなく、”評価者”の視点で採点をしてくれるプロの添削があります。
「学校の授業のペースでは、日本史を勉強し終わることができない…」と遅れが心配な方も大丈夫。
河合塾マナビスの日本史講座では、高2生の秋から高3生の夏(10月~8月)で通史を終えることができ、各模試の範囲にも十分に対応できます。
短期間で受講したい場合は、最短1日1コマ(90分)×30日で通史を終えることも可能。「受けっぱなし」にならないように、受講後にはチェックテストがあり、授業の再現(アウトプット)を行うことで理解の定着を高めることもできます。
自分のペースで日本史の学習を進めたい方、大学受験に不安を抱えている方はもちろん、まずは日本史の定期テスト対策をしっかり行いたい方も、ぜひ一度河合塾マナビスにお問い合わせください。